マロッズのクライアントさんの8割ちかくは、ゴルフをこよなく愛する人たちです。
しかしながら、ゴルフは安全なレクリエーションスポーツではありません。脊柱に1400Nちかい負荷がかかるからです。これはピッチャーが本気で投球したときに脊柱にかかる負荷と同等です。
サッカーや野球、テニス、ランニングをする前にw-upーをしない人はいないと思いますが、多くのゴルファーは入念なw-upせずにいきなりクラブをフルスウィングしています。早朝に家を出て、クラブハウスまで60〜90分ちかく運転した直後に、ブンブン振り回す人も少なくありません。
もともと偏側だけに身体を回旋させるスポーツなので、首や腰、膝を痛めすいわけですが、障害に対するアマチュアゴルファーの意識は低いと言わざるを得ません。実際、身体を壊してゴルフを止めてしまう人がたくさんいるのです。
その昔、ゴルフダイジェストオンラインが主催する「ゴルフテック」の立ち上げをお手伝いさせてもらったことがあります。2年間ゴルフテックのコーチを指導したのですが、このお陰で良い経験を積むことができました。
コーチたちから色々な相談を受けましたが、面白いことに彼らはゴルフが上手にできても、身体の構造や機能についての知識は素人並みだったのです。
ゴルフスウィングにおいて、どこか運動の起点になっているのか、どこを意識すればパフォーマンスが恒久的に安定するのかなど、多岐に渡ってレクチャーしました。今振り返ると、よく当時の私がプロたちに講釈をたれていたものだと恥ずかしくなります。とはいえ、熱心なプロたちからは常に色々な質問を受けていました。
先日、ゴルフのレッスンプロが紹介でマロッズに来ました。鷲足炎と呼ばれる膝の内側下部の痛みを抱えており、歩くだけでも痛みが生じていました。
いつも通り、歩行フォームのチェックをすると、明らかな問題が幾つもありました。歩行フォームをアドバイスすると、以下のエピソードを話をしてくれました。
「高校生のときに親にオーストラリア留学をさせてもらいました。ゴルフの専門学校で最初にチェックされたのが歩き方でした。当時は、現地のコーチたちのゴルフ理論に納得がいかず、実際上達しませんでした」
「今日、歩き方を最初にチェックされて当時の記憶が蘇り、あのコーチたちの指導方針が間違っていなかったんだと思えました」
歩行フォームの修正から始めたコーチは、身体の機能をよく理解しており立派だと思います。ゴルフに限ったことではなく、歩行フォームの重要性を理解している指導者は少数です。
歩行は運動の基礎であるため、歩き方に問題があると障害リスクが高まるだけでなく、全てのパフォーマンスに悪影響を及ぼします。翻って歩行フォームが整えば、フィジカルとメンタルの両面が整い、想像以上の良い変化をもたらしてくれるのです。
このレッスンプロの膝を触診したところ、患部周辺に数ミリのシコリや傷がありました。それらの組織を指先で1時間ちかくかけて散らしたところ、痛みが消失して膝関節の可動域も改善されました。仕上げに、膝の内側へ過度なストレスをかけている動きを指摘してセッションを終えました。
レッスンプロは目をキラキラさせて帰っていきました。
今後も一人でも多くのゴルファーをサポートしていきたいと思っています。