ベトナム人の身体の使い方
ベトナム人の身体の使い方をベトナム(ハノイ・ダナン・ホイアン)で観察してきました。東南アジアの人々には、古くから深くしゃがんだり低い椅子に座ったりして作業や食事をする慣習があるのですが、現在も変わっていないように見受けられました。
昨年9月に訪れたケニアやタンザニアの人々と比較すると、猫背で座っている人や屈んで作業をしている人が多数を占めています。お世辞にも良い姿勢とは言えない人たちばかり。「そんな猫背でいたら将来腰痛になりますよ!」と注意したくなります。
ベトナムの腰痛罹患者数が気になるところですが、具体的な調査データは公表されていません(おそらく実施していない)が、人口の高齢化に伴い慢性疼痛の患者数は増加傾向にあるそうです。
低い椅子だらけ
食堂や市場などに設置されている椅子はプラスチック製です。椅子の脚が極端に短いため、自ずと骨盤が後傾して猫背になりますが、ベトナムの人々には、ローテーブルとローチェアの組み合わせが落ち着くのでしょうね。
しかしながら、習慣的に猫背で座っていると人種や性別を問わず、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、坐骨神経痛などの罹患リスクが高まります。ローチェアであっても座面の角に座れば、楽に骨盤を立てて座ることができるのです。
昔は居酒屋などでビール瓶のケースに座らされたものですが、賢いおっさんたちはケースの角を正面にして座っていました。骨盤の開口部は三角形のかたちをしているので、角だとうまくハマるのです。
ベトナムでは非常に多くの人が低い椅子に座るのだから、角に座ることのメリットを全国に広めたいなと強く思いました。
ちなみに、多くの日本企業の椅子と机は馬鹿馬鹿しいほど低く、それが心身に大きなストレスを与えています。早急にJISの規格を現代人の身長に沿うように見直すべきです。
アフリカンの着座姿勢
東南アジアや日本人に比べて、アフリカの人々は骨盤を立て胸を張った体勢で座ります。骨で座るとは、まさにこのことです。アフリカ大陸の人々は腰痛や肩こりになりにくいと言われる所以はここにあります。
しゃがみかた
ベトナム人のしゃがみ姿勢は猫背ではありますが、こじんまりとまとまってバランスがとれていてます。だけどやはり腰や膝に悪いのではと心配になります。
屈み方
屈み方のフォームも背中を丸めている人が多く、バイオメカニクスの観点からも良いとは言えませんでした。とは言え、幼い頃からずっとこのフォームで作業をしてきた人たちは、脊柱起立筋や脊柱の靱帯、椎間板の組織が強化されて壊れにくくなっているのかも知れません。
アフリカンの屈むフォームは、もはや芸術の粋に達しています。
予防医学的スキルの啓発
これから先、現代人の暮らしは益々座っている時間が増していくと予想されます。最適な座り方や座り直し方を身につけることが、健康に暮らしていくための必須条件といえます。もちろん、効率的的な屈み方やしゃがみ方を覚えることも重要です。
これからもこの先も、私は生涯役に立つスキルと知識の普及に尽力していきます。