3年目
日比谷のペニンシュラホテルさんとお付き合いさせて頂いてから約3年目になります。6月11日、ホテルの従業員さんを対象にしたワークショップを開催しました。
参加者の多くがデスクワーカーだったので、座りっぱなしによる心身への負担を軽減するための座り方についてレクチャーしました。頭で理解したことを直ぐに体現できる方が多かったので、とてもスムーズに進行することができました。股関節を軸にして、骨盤から頭部を一直線にキープしたまま上体を深く前傾させる動作を反復してもらいました。これは昨年10月にタンザニアとケニアで気づいた最も大事なことです。
歪みの癖を知る
いくつか盛り上がったコンテンツがあったのですが、座っている時の骨盤の傾き(左右の対称性)を自分で把握するテストを紹介したときも「ああ!」とか「おお!」という声があちこちから聞こえました。両手を水平に開いて上体を左右にスライドさせるこのテストは、脚を組む癖を矯正するときに欠かせないものであり、また坐骨神経痛の根本的な原因を突き止めるのにも役立ちます。
近年ではアンガーマネジメントの重要性が説かれているようですが、感情の効率的に抑制するには姿勢に気を配ることも大切です。姿勢が崩れていると呼吸が浅くなり、身体の痛みも加味されて誰でも怒りっぽくなるからです。
お辞儀によるダメージを軽減
ホテルマンは一般人に比べてお辞儀の回数が圧倒的に多いため、それがふくらはぎや腰痛につながりやすいと言えます。踵で床を押しながらお辞儀をすれば、下肢の背面の筋膜ネットワークのスイッチが入り、上体の重さを太ももの裏の筋膜で支えることができます。この作用は腰部にかかる負担を大幅に軽減してくれるため、腰痛を罹患するリスクをヘッジすることにつながります。
ベッドメーキングや清掃に関わる作業は中腰や屈む時間が長いので、どうしても腰に負担が集中してしまうものです。参加者の中にはコルセットしないと腰が不安だという方もいました。慢性的な腰の痛みを回避するために、かなり姿勢が歪んでいました。
軽度の問題であればセルフケアでリカバリーできますが、中程度以上になってしまうと、施術で患部周辺の循環障害や強張りを改善してからでないと、なかなか次のステップには進めません。
今後も様々な職業に携わっている人たちの作業姿勢や動作パターンを最適化し、心身の負担を少しでも軽減できるように啓発活動を継続していきたいと思います。