運動器の問題の多くは、足部から始まると言っても過言ではありません。地面と接するのは足なので、足裏のアーチと足部の関節の状態によって、姿勢が変わるからです。
足底 にあるセンサーと脳の間では、毎秒1億回を超えるセンシングが行われており、そのお陰で私たちは無意識に立ったり歩いたりすることができるのです。ですから、足部のコンディションが低下すると、姿勢の乱れや運動効率の大幅な低下を招き、膝痛や股関節痛の誘因になります。
しかしながら、多忙な人がこまめに足部や下腿(ふくらはぎ)のケアを行うのは、簡単なことではありません。
脚の疲れを取り除くと全身が変わる
画像の患者さんは、太ももの裏側と外側、ふくらはぎの外側の痛みに悩んでいました。初診では、脚を引きずって歩いていました。
足底 のアーチを回復させることから始め、下肢の部分的な強張りを緩め、臀部や大腿部にあった潜在性のトリガーポイント(痛みや痺れを出さないが筋肉の可動性を奪うしこり)を散らしました。すると、帰る頃には痛みと痺れが消失し、スタスタと歩いていました。興味深いのは、下肢の状態を整えるだけで、姿勢と歩行だけでなく、スタイルまでも変化することです。
これは全身の筋膜が、足部から脳に伝達される情報(体性感覚)が最適化されたことによって、脳からのフィードバック=姿勢制御システムの働きと運動出力が、改善されたことによる状態の変化と考えられます。
これに加えて、効率的な歩き型を定期的に指導すれば、再発のリスクが減り、歩行フォームも別人のように若返ります。これくらいの変化は、適切な手順を踏めば、誰にでも起こせるものです。「これをやったらどうなるか」「あれをやったら、どう変化するか」と仮説を立て、それを実証するために試行錯誤しています。
一人としてパターンで対応することはありません。そうなると好きな事ではなく、仕事になってしまい閃きが生まれないからです。同時に、クライアントさんと色んなお喋りして楽しい時間を過ごしています。