原因の特定
「どこに行ってもなかなか良くならない……」
半ば諦めていたそうですが、そんな折にマロッズのクライアントさんのご紹介でご縁ができました。まずはいつものように、日常生活で最も長く続けてきた「姿勢」と「動作パターン」を再現してもらいます。
どの部位の痛みであれ、姿勢と身体の使い方の癖に本質的な原因が潜んでいます。長年のパターン化された癖が、どのように人体に影響を及ぼし、今の痛みを作り出しているのかを細かく推察していきます。この見立てが非常に重要。さらに、指先から頭部にかけて丁寧な触診(スキャニング)を行い、痛みの元凶となっている「病巣」を特定していきます。
痛みの先にある変化
不快な症状を引き起こしているのは、たいていの場合、深部にある「瘢痕(はんこん)化した組織」です。これを散らすとき、人によっては1分ほど悶絶するような痛みを感じることもあります。しかし、その苦痛の先には大きな変化が待っています。
「痛い!」→「痛気持ち良い」→「気持ち良い」→「無感覚」
このように、感覚が劇的にグラデーションを描いて変化していくのです。
脳からの報酬を引き出す刺激
施術において、私が最も大切にしているのが「刺激のコントロール」です。
痛みの度合いを10段階で評価した場合、圧をかけたときの痛みを「6〜7」に収めます。私はこれを「ヘドニックポイント」と呼んでいます。
この絶妙な強さを維持し、脳へ「強すぎず弱すぎない刺激」を送り続ける。
すると、脳から「患部の緊張を解きなさい」という命令が下されます。
ときには、10分ちかく微細な刺激を脳に送り続けて、フィードバックを待つこともあります。問題のある組織を物理的な刺激を与えて改善しようとしても、それだけでは限界があります。身体の組織を介して脳と対話する必要があるのです。
私は、この脳からの「報酬」を引き出せるセラピストこそが本物だと確信しています。
局所の変化が全体に及ぼす影響
今回は右腕のみへのアプローチでしたが、セッション前後の姿勢を比較してみると、驚くことに全身のシルエットまで変化していました。
こうした変化を毎日目の当たりにしていますが、理屈を超えた「脳と身体の繋がり」や、網目のように広がる「筋膜ネットワーク」の奥深さには、私自身も日々魅了されています。
初回のセッション 左before 右after
2回目の施術後 頚肩部の過度な緊張が抜けて脇が閉じている。
肩甲骨の位置が変化し、巻肩が修正されている。



