〜杖をつくほどの強烈な痛み〜
膝関節の半月板逸脱という症状をご存知でしょうか。半月板は大腿骨と脛骨の間にある薄いクッションですが、加齢や怪我によってこの組織が損傷すると膝関節の機能障害と激しい痛みを引き起こすリスクが高まります。
先日いらした60代の患者さんは、数年前から杖を使わないと歩行が困難な状態が続いていました。こういったケースでは、内視鏡をつかった外科的処置を勧める医師も多くいます。状態によっては外科的処置が止むを得ない場合もありますが、メスを入れずに改善できるのであれば、それに越したことはありません。
〜膝が痛むのは膝のせいではない〜
膝の問題に限ったことではありませんが、膝関節の機能障害や疼痛の根本原因は、足底 や足関節、股関節の機能低下にある場合がほとんです。例えば、人体のタイヤの役割を担っている足部のアライメント(骨の配列)が崩れたり、足底 のアーチが疲労によって機能低下したりすると、脳は無意識のうちてに膝関節と股関節に付着する筋肉をかためて可動域を小さくします。一時的であれば問題ありませんが、常態化してしまうと膝と股関節の組織にダメージが蓄積していきます。
〜脚全体をオーバーオール〜
つまり、膝の問題を訴えている人に対して膝だけを診るような近視眼的なアプローチでは、原因を見落とすだけでなくいつまで経っても改善されないわけです。これは腰痛症などにも当てはまることです。残念なことに多くの整形外科では、30年くらい前から診察のやりかたが改善されたおらず、「痛いところが悪いところ」「痛むところを切除」「痛みは薬で抑える」といった古い考え方が抜けていません。だから、何ヶ月、何年通っても一向に完治しない患者さんが後を絶たないのです。足部であろうと膝であろうと、一つの関節の問題を改善するには、少なくとも脚全体をオーバーオールしてあげることが重要です。そうすれば、患者さん自身が驚くほどの違いを生み出すことができます。玄関に置いてあった杖を忘れて帰ろうとする人も少なくありません。
〜再発しないためのサポート〜
脚全体をオーバーオールした後は、歩行の型をレクチャーします。運動器の問題を抱えている人は、ほぼ100%の確率で姿勢、呼吸、歩き方に問題があります。どのような症状であれ、この3つを改良しない限り、再発リスクを0にすることはできません。歩き方の基礎を指導すると姿勢も見違えるほど変わるのです。マロッズでは、1回のセッションで症状と動作が大幅に改善されて、人が変わったように明るくなられる人が大勢います。